三節 山間48

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「おおっ……ううっ……」 そんな一行の注目を一気に集めたのが、突如呻きを上げたテラだ。 「どうしました? テラ様」 ポロムが心配し、声を掛ける。 「失われた魔法の数々が思い出せそうじゃ……何かが頭に語り掛けてくる様じゃ……」 そう言ってしばらくは天を仰ぎ見ていたテラではあるが、やがてセシル達の方に向き直り…… 「思い出したぞ! 忘れた呪文の数々を! うっ……」 そこまで言ってまた頭を抱える。 「メテオ……? あの光が授けてくれたのか。封印されし最強に黒魔法を!」 あの声の主が授けたのだろう。しかしセシルには既にその声は聞こえていなかった。 「そんな魔法まで! さすがテラ様。これで百人力ですわ」 「ちょっと……ポロム……」 「何?」 その控えめな様子のパロムが珍しかったのか、ポロムが耳を傾ける。 「もう……ばら……ちゃってもいいんじゃ……ない……か」 「ああ、その事ね。分かった」 一瞬険しい顔になったが、すぐに元の表情へと戻る。 「えーと。あの~セシルさん……」 「実はおいら達は……」 改まって二人がが何かを口にしようとするが…… 「よしっ! 見ておれよっゴルベーザ! この力を持ってお前を倒しにいくぞ」 その言葉は、テラの叫びによって無惨にもかき消された。 「ゆくぞっ! セシル」 そう言って一気に外へと走り去ってしまう。あの歳の老人の何処にあれほどの体力が残ってるのか 疑いたくなる程にだ。 「あっ! 待って下さいテラ様!」 急に走り出したテラを慌てて後を追うポロム。それにつられるかのようにパロムも外へと向かった。 「ごめんなさいセシルさん。詳しい事はミシディアにでも帰ってからで」 その様子を見て、セシルも外へと出ようよ歩き出す。最後にもう一度だけ、後ろを振り返りこう口にした。 「ありがとう……」

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