三節 山間54

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沈黙を打ち破るかの様に、扉が開く。 そして遠慮無く中に入ってきたのはテラであった。 「セシル、すまないな。久しぶりに帰ってきたものだからつい懐かしくてな、色々見て回ってしまったのだ」 「久しぶりじゃな」 長老が嬉しそうに声をあげる。 「ああ……」 テラの方は何処か遠慮しがちな態度であった。 さっき町中でテラを見た者達も何かをしっている素振りであった。 テラにとってこのミシディアになんらかの因縁があるのだろうか。 「この爺ちゃん凄いんだぜ! 何たって伝説の魔法。メテオを覚えたんだから」 「メテオだと……」 その単語を聞いた長老の声が裏返った。 「そうだ、セシルがパラディンの試練を超えた時、山頂で聞こえた声が私にも話しかけてきた、 そうして、力を授けてくれた」 「あの魔法の封印が解かれるとは、やはりただ事でない何かが起ころうとしているのか」 「そうかもしれんな……だが、世界の事情がどうあれメテオは私の手の中にある。この力さえあれば ゴルベーザーも! 奴だけはこの私の手で倒す!」 「テラよ……今のお前は憎しみの力が増大しておる。そのままの状態で戦おうとするとお前自身の身を滅ぼす結果が 待っておるぞ。それにメテオなどと……」 「分かっておるわ! その位の事は……だが、あいつだけは、ゴルベーザだけは何としても!」 激しい口調のテラはこの場にいる全ての人物を黙らせるだけの覇気を感じさせた。 「駄目だ、いくらお前が強くなろうが今の考えでは決して勝つことはできん。周りの状況を見据えるのだ」

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