三節 山間64

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昨夜の内に、長老から指定されていたのでその場所には直ぐにたどり着けた。 「セシルか?」 既に到着していたテラが声をかける。 「おはよう、テラ。早いんだね」 「良く寝付けなくてな。まあ、復讐を誓った時以来、睡眠と言うものをまともに取ることが 出来なくなってな……」 「そうか……」 「そんなに遠慮をするな。、別に気にしてはおらんよ。ところでその鎧は?」 「ああ、旅立ちの餞別として貰ったんだよ……」 「ほお……なかなか様になっとるぞ」 まじまじと見つめながら、感想を一言。 「はは、有難う……」 町はずれにぽつんとそびえる、一軒の小屋。この魔法国家の神秘的な建物に比べると、明らかに質素な 作りである。 「ここからバロンに行けるのか?」 その事は既に長老から確認済みだった。しかし、今ひとつ実感が沸かなかったので念を押すかのように 聞いてしまう。 「そう思うのも無理はないかもしれんが、このデビルロードと呼ばれた道は昔はバロンとミシディア間の 交易ルートとして、栄えたのだ。今の両国の関係を見れば、とてもじゃないが、想像できん事だがな」 確かにここ数年のバロンは各国に対し、強硬的な姿勢で外交にも臨んでいた。 そうしてその圧力に一番反感を持ったのが、ミシディアであった。 結果、ミシディアはバロンの侵攻の真っ先の的にされてしまった。その時にこの道も閉鎖されてしまったんのだ。 最も現在の世界を見れば、むしろ最初に侵攻された事さえましな事に思えるが。

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