二節 再開の調べ12

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途端、聞き覚えのある音色が聞こえてきた。 「どうした、セシル?」 「テラ、何か聞こえないか?」 「そうか……」 セシルに促され、テラも耳をこらす。 「確かに……」 見ると、行き交う城内の兵士達もが、その足をとめて、始まった演奏に 耳を傾けている。 「何処から……」 ふいに疑問がよぎる。 それは遠く風に乗って聞こえてくるのか、それともすぐ近くからの音色なのか、 いやそんなことはどうでもよかった。 問題は音色はセシルの聞き覚えのある音なのだ。 そう、これは竪琴の……音。 その音や楽器――結びつくのは唯一人それも良く見知った。 「セシル殿……?」 半ば、答えに辿り着きかかってたヤンは、セシルへと訪ねる。 「ヤン! この音は竪琴だよ! 君も聞いた事があるだろう!」 「竪琴……っ!」 そこまで言われるとヤンにもわかったのだろう。 「という事はっ……!」 合点したヤンの言葉を全て聞き終えるか終えないか、定かでない内に セシルはもう走り出していた。 間違いない。進む演奏を聞くに連れ、セシルは思う。 このような音色を――竪琴の美しい調べを奏でる人物をセシルは一人しか知らない。 もはや疑惑でなく確信へと移ったその意識を胸にセシルは更に走る速度を早めた。

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