二節 再開の調べ15

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飛空挺のつくる影から、更に二十歩ほど離れているだろうか。葉がついたままの枝を地面に刺し、幅の広い布をめぐらせた内側で、複雑に髪を結った娘たちが踊っていた。 彼女らを囲むように、やや年嵩の女性が3人、笛や鼓を携え、芝の上で膝を組んでいる。全員が巫女の類なのだろう、厳粛な祭儀の空気が、声をかけることを憚らせた。 ──IDLEM URODO ITAU A WI ROT── ──UKUKFU KUSH ONUOY NEHAWUOCH── 各々が小振りの錫杖を手に、訓練された良く通る声で歌っている。むきだしの腕で宙を掻き、足を踏み鳴らすたび、杖の飾りが触れ合って、華やかな音を立てた。 見る限り、竪琴を手にしているものはいない。耳を澄ますと、確かに弦をはじく音が鳴っている。だがそれは、目の前で奏でられる楽とは調和していないように思えた。セシルでさえ違和感を覚えるほど、明らかに拍が合わないのだ。 「む、あの娘は……」 テラの視線は、舞姫たちのつくる輪の中心を指していた。自然と、セシルの目もそちらに吸い寄せられる。 花蔓と鳥の羽で編んだ冠を戴いた女性が、藍銅色に染めた瞼を半ば伏せ、ゆるゆると杖を持ち上げる。先ほど会ったばかりの、八姉妹の一人に間違いなかった。 ──ENADU YOIMI NNESAR URUGEM! 激しく鼓が打ち鳴らされ、横笛の音が中庭に響いた。それに合わせ、巫女たちが手にした錫を一斉に振り下ろす。 涼やかな音が周囲を圧し、あらゆる邪悪な存在を押し流すようだった。

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