四節 これから9

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「ヤンとはやり合いたくはないが……迷うだけではだめだ」 「そうでなくてはな」 理由はどうであれ、親愛なる友と剣を交えるのは誰にとっても耐えきれない事である。 カインの時も相当の決心をしたが、まだ万全でなかったのかもしれない。 だが、あれからの短期間の間、自分には目まぐるしいことの連続であった。 その中でセシルの想いも数多くの交錯を経て、変化があった。 迷うならば戦うな。それが、どんな相手でも。以前の様な負け方は決してしてはならない。 だが、目前の敵を単純に退けてはだめだ。 試練を乗り越えた自分にならあるいは…… 攻撃は相変わらず厳しかったが、迷いを忘れ全力で立ち向かうセシルには不足はなかった。。 連撃には堅固な守りで対応し、一撃の重さに賭ける。実直な一撃は迷いの太刀とは違い、正確さがある。 「さっきとは別人のようだな!」 攻撃をやり過ごしながらもセシルは反撃をする。 描かれた剣閃がヤンの鋼の肉体を掠める。 「はは……いいぞ! いいぞぉ……!」 ヤンの技は確かに厳しかったが、戦う中、一つの変化が見られた。 最初は漫然の怒りと殺気があったが、それがだんだんと薄れつつあるのだ。 もしかするとこうしてぶつかり会う事で、かつてのヤンを取り戻せるかもしれない。 そのような確信を持ち剣を振るい続ける。相手の憎しみは殺意だけを断ち切るかのように……

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