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近衛兵団に所属するその兵士達の主な任は王の護衛である。
国家の中心人物の信頼を全に受けるこの兵士達の選定には厳重な試験が有り、陸軍の中でも屈指の
実力者を中心の組織されている。
単純に剣を交えるのならセシルやカインにも引けを取らない者達ばかりであろう。
その近衛兵が四人。状況は向こうに傾いている。
だが、そんな中でセシルとヤンの表情は比較的穏やかである。
「手伝ってもらえるか、セシル殿?」
「勿論だよ……」
「では行くぞ!」
「くっ……」
その余裕な有り様に少しばかりたじろぎつつも近衛兵の一人は剣を払ってきた。
「!」
だが剣を振るった後、その兵士は驚愕した。
確かに捕らえたと思ったヤンが忽然と姿を消していたからだ。
満身の剣の一撃は石で舗装された道を砕き地面を露出させるだけにとどまった。
慌てて視線をあちこちに巡らした兵士には更なる混乱が襲う。
上空、朝日を背にした影が自分達の方向へ降下してきたからだ。
兵士達にとっては身軽に戦いの場を駆けめぐる者を見たのは初めてであったのだろう。瞬時に剣撃を
跳躍して回避した芸当に思わず迎撃する事も忘れてしまう。