四節 これから18

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「あの……!」  言いすがる彼女を、セシルはそっけなくあしらう。 「シャーロット、僕らに関わらない方があなた方のためです」 「存じております、ですが……」  関わらない方がいいというより、関わらないでくれ、というのがセシルの本音だった。  なぜなら、彼はシャーロットが何を知りたがっているのかとっくにわかっていたからだ。そんな ことは、初めに再会したときからずっと、彼女の心配そうな表情がもの語っていた。  そしてセシルにとって、それに答えるのはとても辛いことだった。 「お嬢様は……、ローザ様はどちらに?」  ほら、やっぱり。 「ここには連れてきていません、安全な所で身体を休めています」 「そうですか……」  そう聞いて、彼女は少し安堵した様子で胸を抑えた。  嘘を見破られない方法は嘘にならない言葉を選ぶこと。  どこかで聞きかじった話、嘘などつかないと思っていたけれど、意外な所で役に立ったものだ。 「奥様に、お伝えしないと……」  ふいにセシルは足を止め、シャーロットを見据えた。  思わぬ彼の反応に、シャーロットは立ちすくむ。 「シャーロット」 「はい」 「奥様には、僕やローザのことはまだ話さないでもらいたいんです」 「えっ、でも……何故…」 「……それじゃ」  半ば強引に言い捨てて、セシルは彼女を振り払った。シャーロットはなおもすがろうとしたが、 セシルの背中に決別としたものを察し、諦めて口を閉ざすと、遠ざかる彼らを不安げに見送った。

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