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「四節 これから19」(2007/12/14 (金) 04:47:36) の最新版変更点
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遠く彼女の様子を振り返りながら、テラが口を開く。
「セシルよ。ローザというのは、確かそなたの…」
「まだ話していなかったね、テラ。そういえばお礼もまだだった」
「あの病人の娘だったな?」
「そうだ。あなたとギルバートのおかげで、彼女の命を救うことが出来たよ」
「しかし、その娘はどこに…?」
テラの問いかけに、セシルは目を細めて口を閉ざす。
苦しげな彼を見かねて、ヤンが言葉を返した。
「ローザ殿は、ゴルベーザの元に連れていかれて………」
「……なんということじゃ、…するとあの女性は」
再びシャーロットの姿を顧みるテラに、セシルが付け加えた。
「ファレル家の、ローザの屋敷に仕えている女中だよ」
言いながら、セシルも振り返り、こちらを見つめる優しげな中年の女性でを見た。
懐かしさに胸が溢れた。幼い日々の想いが駆け巡る。だが彼はすぐさま彼女から目をそらした。
自分たちの境遇を忘れてはならない。この懐かしさすら、今だけはあだになってしまうだろう。
セシルは努めて先を見据え、いっそう足を早めていった。
やがて、彼らは街外れにある一軒の家の前で止まった。