四節 これから22

「四節 これから22」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

四節 これから22」(2007/12/14 (金) 04:48:34) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

「かかれっ!」 小隊長の号令にあわせ、近衛兵が一斉に剣を突き出す。無言のままセシルはそれらを迎え撃った。 試練の山で授かった剣が、暗黒の力を帯びた甲冑を易々と切り裂く。血飛沫と絶叫をあげて、兵のひとりが武器を取り落とした。 背後でか細い悲鳴が上がる。ポロムの声だ、と判断するその間に、いくつか攻撃をセシルは体で受けるはめになった。しかしダメージはほとんどない。防具に込められた光の力の祝福が、闇に染まった刃の威力を大幅に削いでいる。 「はっ!」 傍らのヤンが武神に舞を奉げ、2人の兵がほとんど同時に倒れ伏した。その穴を埋めるように、後列の兵が進み出る。 それでもバロン兵は攻撃の手を緩めなかった。倒れた仲間を踏み越え、互いの身すら傷つけかねない勢いで第二波を繰り出してくる。軸足の位置をわずかにずらし、セシルが備えようとした瞬間。 「だめ~~~~~っ!!」 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ」 やわらかいものが膝に絡みつき、彼の動きを妨げた。振り払おうとしてその正体に思い当たり、危ういところで踏み止まる。 これはポロムだ。もう少し気付くのが遅ければ、地面に叩きつけてしまうところだった! 肝を冷やしたところで、容赦なく敵の攻撃が殺到する。両腕を、胴を、続けざまに衝撃が襲う。鎧を破られはしなかったが、息がつまり、腕が痺れる。どうにか頭部は庇いきった。思わぬ妨害に、近衛兵たちも戸惑ったのかもしれない。 感覚の戻らない腕を振り回し、目の前の敵を遠ざける。周囲を気にかける余裕が、多少なりとも生まれたのはそのあとだった。 真っ青な顔をしたパロムを足にしがみつかせたまま、血だらけになったヤンの体がぐらりと傾く様を、セシルは目の端で捉えた。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。