四節 これから27

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カイン、そしてゴルベーザの不在が事実だったとしても。シドの居場所がわからない以上、彼ひとりを助け出してそのまま脱出するなど無理な話である。 王との対決はもはや避けられない。その点で、3人の意見は一致していた。 「問題は、どうやって陛下の……  すまない、バロン王のところまで行き着くか、だね」 バロンの城は濠と城壁で二重に囲まれ、唯一の門は近衛兵が守りを固めている。城の内部にも、親衛隊を初めとする警護の目が光っていることだろう。 王の元に行き着くまでに、セシルたちのほうが消耗しきってしまう。 「抜け道でもあれば話が早いんじゃがの。  セシル、お主、何ぞ聞いたことはないか?」 「あるにはあるけど、テラが期待しているようなものじゃないよ」 万が一の事態に備え、様々な仕掛けや秘密が城に隠されていることまでは、テラが指摘する通りだった。 しかしバロンの王は、統治者であると同時に最強を謳われたナイトである。落城の危機を前にして、自分だけ助かるための逃げ道を必要としない精神を含めて、そう呼ばれる。 少なくとも、かつては。 「む、失礼」 突然、ヤンが廊下と接する扉を開ける。ティーセットを両手で持ったレッシィが、すぐ前にいた。声をかる前に勝手に開いたドアに驚いて、目を丸くしている。 「……あ、お茶、入りました」 「ありがとう」 四人分の飲料とカップを乗せた大盆をヤンが受け取り、中央のテーブルに乗せた。手の空いたレッシィが、エプロン脇のポケットから折り畳んだ紙を取り出す。 「それとこれ。父から預かりました。  セシルさんが戻ってきたとき、自分がいなかったら渡してくれ、って」 「シドから?」 セシルは紙を広げた。道具を使って丁寧に引かれた線の上に、びっしりと何かが書き込まれている。シドの筆跡に間違いない。 「見取り図──か? これは」 「バロンの地下水路だ。  ……城へのルートが記してある!」 セシルの叫びに、横から覗き込んでいたテラが、それ見たことかと唇を曲げた。

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