一節 刻む足跡8

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着艦後、シドは直ぐにでも、自分の弟子である、部下達に指示を下し始めた。 トロイアまでの航路をとるには色々と準備がいるようだ。 当然ながら、セシルを初め、ヤンやテラ達には何か手伝える事があるわけではない。 それどころか、邪魔になってしまうかもしれない。 「数日程時間がかかりそうじゃ……すまんが、ゆっくりと休んでおいてくれ……」 テラは、一刻も早く出発したいようで、その言葉を聞いた時は苛立ち気味であった。 最も、いつまでも焦っている事はなく、すぐにでも休息をとる事になった。 テラにもこれからの事で色々思い悩む事もあるのであろう。 ヤンも同じようであった。 そして、セシルにとって、与えられた休息は、大変有り難いものであった。 それは単純な疲れを癒すだけでなく、今の状況や、バロンの変化とその影響を 知る為にも、充分な時間であったからだ。 「失礼するよ……」 そしていま、セシルは城内の一つの扉を叩いていた。 「何でしょう」 返答は間もなく帰ってきた。直後、扉が向こう側から開く。 「これは、セシル……さん」 表れた人物を見て、扉を開いた男は少しばかりの敬意を払ってその名を呼んだ。 「あ、別にそんなに改まってもらわなくても……」 「ですが、あなたがこんな所に来るとは珍しいですから」 こんな所――竜騎士団の詰め所にセシルは来た事はあまり無かった。 「何用でしょうか?」 「あ、少し聞きたい事があって……入れてもらえるか?」 「はい……」 ゆっくりと頷いてから、男はセシルを部屋へと案内した。

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