一節 刻む足跡27

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「待て! セシル!」 考えるセシルの元に慌てたかのような声と、足音が近づいてくる。 「確かに、お前がいうとおりなのかもしれんな。今はあやつを……ゴルベーザを 倒すべきなのかもしれん」 振り返ると息を切らしたテラが立っていた。 「じゃあ、もういんだね……」 何がとは聞かなかったが、テラも理解しているであろう。 「ああ、あの子達は決して死んだわけではない。それに今は二人も――」 石となった人間に想いというものが存在するかはテラにも判らないのであろうか、そこで口を閉じる。 「だけど、時間が……時間が二人を何とかしてくれるかもしれん……」 しばしの時を経て、テラはそう言った。それは無理にでも自分を納得させている言葉に、セシルには 感じられた。 同時に朝から昼へと移行し始める空を見上げる。その姿は何処か脆くセシルは感じた。 「僕もそう思うよ。行こうか……」 「ああ……」 そう言ってテラは足を速めようとした矢先―― 「おうい!」 シドとヤンがこちらへとやってきた。 「もういいのですか?」 「ああ」 ヤンが訪ね、テラが答える。 「随分と早かったな。それでどうだったのだ」 今度はシドが話しかける。 「ああ、もう少しばかり時間がかかりそうだ。これ以上此処に用はない。 さっさと出発してしまうぞ!」 返答するテラはすっかり元通りの元気な口調であった。 しかし、セシルにはその背中は言葉とは裏腹に、随分と小さく見えた。

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