四節 これから31

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「その者はどんな奴であった?」 「白き鎧を纏っていました。名前は……」 すぐには出てこなかったが、二度目の襲撃の時の叫びが思い出される。 「そうだ! 確か、セシルと名乗ってました!」 そこまで言って彼は自分の言葉に驚く事となった。 「セシルって……ひょっとして」 思い出した。それにあの時彼は自分の事を……どういった? 僕は赤い翼のセシル無駄な抵抗はやめろっ! そして王に会わせろ。 あの時はセシルを倒す事に必死で特に意識せずに聞き流した言葉であった。 「赤い翼のセシル……」 その名を知らぬ者はバロンにはいないであろう。 王の元で暗黒剣を志した者、現在は反逆者としておたずね者になっている人物。 「何!」 ベイガンも驚いたのか、初めて振り返り、近衛兵の方を見た。 「確かにそう名乗ったんだな?」 驚きを隠さず、激しく問いつめるベイガンの姿に近衛兵自身も動揺しつつ、首を縦に振る。 「それで奴は何を言っていた?」 何故そんな事まで聞くのかが疑問に感じたが、近衛兵は言う。

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