四節 これから33

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睨むようなその右腕の目つきに耐えられなくなった彼は慌てて視線を反対に向ける。 だが、そこにも同じような光景が待っていた。 つまりはベイガンの左腕。 そこにも何か、今度は最前よりも良く見て取れる。 どす黒い紫色の肌に二つの目、手先に裂けたかのように露出する口 はこちらを静かに見つめている。 「ひっ!」 すでに声を潜めるという考えは彼にはなかった。いや頭の片隅には存在していたのかもしれない。 だが、そんな行動をできるほどの余裕は彼には存在してはいなかった。 左と右にそびえる恐怖に挟まれてはどんな者でも怯えを隠せないであろう。気を失わなかっただけでも賞賛に 値するかもしれない。 腰を地面につき、わなわなと震え、怯えた目つきでベイガンを見上げていた。 「あんたは一体……なんなんだよっ!!」 何とか絞りだしたその声は、目前の隊長――すでにヒトではない化け物めいた相手に対する問いかけになるほど の声量を保っていなかった。 その声にベイガンが振り返る。 振り向いたその顔は両手に構えた腕の表情よりもさらに彼を戦慄させる。 そして――

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