四節 これから43

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先程の悩み、つまりは顔を洗うか、外の風に当たるかの悩みをセシルは少し考えた後、 その両方を実行に移すことにした。 そして最初に選らんだ顔を洗う事を済ました。 外へ出ようと、廊下を歩いていると、更に記憶が蘇ってくる。 顔を洗った事で最前までぼやけていた意識が鮮明になったからだろう。 自分達はあの後、つまりはシドがレッシィに託した図案が城への潜入を可能にした事。 さらにはその道を開くために鍵を運良くヤンが所持していた事。 二つの幸運に恵まれ、進路に光明が見えた時である。 だが、直ぐに行かずに此処で一泊する事にした。 理由は色々あった。一つはパロムとポロム。二人の子供達の事。 近衛兵を倒した時。二人は初めて人間相手に戦った。 それが直接手を下さなかったにしろ随分と衝撃な事であったろう。 そして城に行けば必然的に兵士と再び激突する。万一、体よく忍び込めたとしても剣を 交える可能性は高い。 二人には少しだけ心の整理――覚悟を決めてもらわなければならないと思い、その為の 猶予を与えた。 もう一つはヤンの様態を気にしてだ。回復魔法で深い傷を負ったヤンはなんとか事なきを 得た。しかし、たとえ回復魔法でも完全には手当はできない。休養を挟む必要があると判断したからだ。 テラは反対した。テラはバロンに来てからいっそうに焦り先を急ぐようになった。 だが、結局セシルの説得で何とかテラは折れ、一泊を許可した。 そして、セシルは開いている部屋が無かったのでシドの部屋に泊めてもらったのだ。 部屋が散らかっていたのはその為だろう。

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