FF6-リターナ本部3

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 バナンの容赦のない物言いに、ティナは思わず耳をふさいで悲鳴をあげた。 バナンは構わず、まるで追い討ちを掛けるように言葉を続けた。 「逃げるな!逃げても事実は変えられんぞ!」  そんなティナの様子を見かねたエドガーが、バナンとの間に割って入る。 「バナン様!お考えあってのお言葉でしょうが、 いくらなんでも酷すぎます!ティナは帝国の支配から解放されたばかりなのです。 もう少し時間が必要です」  バナンはエドガーを一瞥し、ふんと鼻を鳴らした。 「時間?たとえ一時、目の前の現実から目を逸らしたところで 時間は何も解決してはくれん。 その事はお前が一番よく知っているだろう、エドガー」 「ですが…」  バナンは何かを言いかけたエドガーを片手で制すると、 ティナを諭すように語り始めた。 「こんな話を聞いたことがあるか? その昔、まだ邪悪な心が人々の中に存在しない頃、 開けてはならないとされていた一つの箱があった。 だが、好奇心から一人の男が箱を開けてしまった。 中から出たのは、あらゆる邪悪な心だった。 裏切り、嫉妬、破壊、独占、支配…。それはたちまち世界中へ飛び散ってしまった。 だが、箱の奥にはたった一粒の光が残っていた。 …希望という名の光じゃ」  室内はしんと静まり返り、誰もがバナンに注目していた。 そんな中、ティナだけは俯いたまま、 思いつめた表情で床の一点をじっとみつめている。  バナンは大きくため息をつくと、椅子から立ち上がった。 「少し疲れた…先に休ませてもらうよ。お前達も休んでいくといい」  バナンは奥の部屋へと続く扉へむかって、ゆっくりと踵を返した。 ドアノブに手を掛けたところで、ふと立ち止まる。 「おぬしは世界に残された最後の一粒の光。 どんな事があろうと、自分の力を呪われたものと考えるな」

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