五節 忠誠と野心1

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シドの図案は完璧であった。 的確に罠を張った場所を示したそれを頼りにすれば、地下水脈を超える事も 困難ではなかった。 地下水脈の終着点。小さな部屋に出る。 手にした明かりを頼りに、扉を探す。程なくして見つけ、それを開ける。 城の一角、空は朝の様相から昼に移ろうとしていた。 見る限り、一番懸念していた近衛兵達はいない。 万一なら、迎え撃ち退ける事も可能であるが、できるだけ兵との激突は避けたかった。 目的を果たす前に消耗を押さえておきたかったという理由もあるが、何よりも パロムとポロムの二人の事があったからだ。 視線を後ろから着いてくる二人に向ける。初めて見るであろう、城に驚きつつ眺めている。 この町に最初に訪れた様に騒ぎ立てたりはしてないが。 一夜明け、目を覚ました二人は元の二人の様に元気を取り戻していた。 その様子は、休養を取った事は正解であったと思うと同時に、空元気なのではないかという 新たな怪訝をセシルに抱かせた。 二人があそこまで怒りを露わにしたのは、出会ってから初めての事であった。 一日間を開けたとはいえ、直ぐにでも心の整理が出来たのであろうか? また、前もって二人を気遣ってやれずに、セシル自身は激しい後悔をしていた。 次も同じ光景を見せるのは二人にとって残酷な仕打ちであろう。 何より、セシル自身もそんな事は許せなかった。

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