五節 忠誠と野心21

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「ええい……簡単に信じてはもらえんとはな!」 テラが少し、苛立ち混じりに声を発する。 「その声は。テラ様!」 急にそんな声が上がった。 「本当です……何で!」 続く声も同じく、広く造られた牢屋内部の、後方から聞こえた。 だが、その声は、反対派の勢いを押し返す力があった。 「皆さん……その方達は信頼に値する人物だと私は思います!」 中でも一際際だった声。凛とし、透き通る声がテラ達の潔白を証明しようと立ち上がり言った。 すぐさま、沈黙はざわめきに変わった。 「導師さんがいうのなら……私は信じるぞ」 一人の老人が声を上げた。それが決め手になった。 先程躊躇っていた者は勿論、信頼しなかったものまでが、老人の――魔導士の意見に同調し始めた。 まだ、意を唱えようとする者も残ってはいたようであるが、既に少数派である。 勢いを失ったその者達は黙り込んでしまった。

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