三節 光を求めて27


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城門へ向かって廊下を歩くテラの胸には、後悔だけ。
 アンナとギルバートのことを認めなかったこと、激情のままギルバートを殴打したこと、自分を案じるセシルへと怒鳴り返してしまったこと。
 賢者の名にとてもふさわしくない、感情のまま行った愚行。それは後悔となって胸の中に沈殿する。
 しかし、いまさら引き返すことなどできるはずもない。
 いまはただ、最愛の娘を失ったこの哀しみも後悔もすべて復讐の怨念へ変えて、ゴルベーザへと向けることしか考えられなかった。


 テラが去った後には、未だ哀しみの色濃い気まずい静寂。
 その中、眠るアンナを前にして、涙をこぼし続けるギルバート。からっぽだった彼の心が色づいていく。
 ―――それは哀しみの色。
 ―――それは悲しみの色。
 ―――それは、絶望の色。
 家族が、国家が、そして恋人が永久に失われてしまった。
 もう、二度と取り戻すことが叶わないのだ。それを、理解してしまった。
 アンナの遺体に跪いて、身を縮めて、泣き崩れる。
 そしてギルバートは、慟哭に至らぬ嗚咽をもらし続ける。


 リディアは、目に涙をためて、うつむいて、それでも泣くことをこらえていた。
 迫りあがる哀しみを噛み潰すように、下唇を噛み締めている。
 迫りあがる悲しみを握り潰すように、両手を握り締めている。
 静寂の中、聞こえるのはギルバートの嗚咽だけ。
 聞こえ続ける彼の嗚咽の中で、リディアは体を震わせていた。
 そんな彼女へセシルが声をかけようとした瞬間、ギルバートへ向かってリディアの感情が爆発した。
「弱虫!! 弱虫っ!! お兄ちゃんは男でしょう!? 大人でしょう!? なのに……!」
 感情のたかぶりのせいで声が詰まる。涙がこぼれる。言いたいことの半分も言えやしない。
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