「誰だ……」
もう一度シドは呟く。
「お前さんがシドか……飛空挺をつくったという」
牢を開けてきたのは老人と明かりを一つ手に持った、屈強な体躯の男であった。
「何故、私の名を知っている。それに……」
城の兵士と思うには無理のある人選であった。さらにここは牢の中でも最も厳重に警備がいきわたっている。
「私たちはお前を助けにきたのだ」
「何!」
それはありがたい事だ。シドはいい加減この窮屈な場所から脱出したいと思っていた。
しかし、前の牢と違ってここは身動きを取るのがやっとであり、脱走を試みる事などは到底不可能であった。
「だが、お前さん達はだれなのだ?」
シドはこの二人を知らなかった。それなのにこの二人は自分を知っている、少なくとも、自分の肩書きくらいは
どのようなものか分かっているようである。
最終更新:2008年08月24日 10:04