三節 光を求めて29


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みんなが救ってくれたこの身に、まだ生命が残っている。まだ意志が残っている。
 ならば、立ち上がらなければ。
「愛する人を、失ってはいけない」
 セシルを真っ直ぐに見つめてギルバートは言った。
「僕はギルバート。ギルバート・クリス・フォン・ミューア。君は?」
「僕はセシル。そして彼女は……」
「あたしはリディア。よろしくね、ギルバート」
「よろしく、セシル、リディア。……リディア、さっきはすまなかったね」
「え、ううん……いいの。かなしい気持ちは、あたしたちにもわかるから……」
 先ほどまで罵倒に近いことを言った相手とはいえ、大の大人に人に面と向かってこうして謝られることにリディアは戸惑った。
 しどろもどろに答えるリディアにギルバートは、優しいんだねと微笑む。
「ありがとうリディア。……セシル。砂漠の光は東の洞窟に住むアントリオンの、産卵の時に出す分泌物からできるんだ。でも洞窟に行くまでに浅瀬があって、それを越えなきゃならない。」
「浅瀬か……」
「うん、でも大丈夫。ホバー船がこのダムシアンにある。カイポまで帰るときにも浅瀬を渡っていけるはずだ。……それじゃあ、急ごう。僕はホバー船を用意してくるから、ふたりは先に外で待っていてくれ」
「わかった」
 そうして、セシルとリディアは外へ。
 ギルバートがひとり、ここに残される。ギルバートは空間を見渡した後、一拍の間、目を閉じ、開き、そして。
「さよなら……、アンナ」
 背を向ける。
 死に満ちた瓦礫を踏みしめて。ギルバートは歩き出した。
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