五節 忠誠と野心49


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試しに、ポロムが突如消えた、緑状の障壁の所存を確かめようとすると、振動音だけを残して、腕が空を切った。
実際には、この手は、障壁を突き抜け、その前方にまで伸びているのだ。
「何を……?」
パロムもポロムと同じく疑問を口にする。
二人が疑問に思ったのは、リフレクを使って何をするのかだ。
「まあ、見ておけ……」
返答もそこそこに魔法の詠唱に入るテラ。
その様子に二人も実際に、何が起こるかまで黙っておくことにした。
「ポロム、少しパロムと距離をとっておけ、危ないぞ」
というような指示に、素直に従った。
もはや疑問を尋ねる事すら忘れ、これから起こる出来事に二人は集中しきっている。
「では……いくぞ!」
そう言って、魔法が放たれる。
それも時間のかかる高位クラスのもの。急遽、巻き起こった巨大な火球から、察するに、
炎魔法の最上級のファイガの魔法であろうか。
完成をみたファイガの魔法はただ、一直線にパロムの元へと突き進む。
だが、対するパロムの顔に怯えはなかった。そして、それを、テラの指示に従い、遠巻きに眺めるポロムにも。
それどころか、何か、納得したような気配さえある。

ファイガが目前まで迫ったその時、パロムの目前に障壁が現れる。当然ながら、これはテラが唱えたリフレクの魔法だ。
発生した障壁――リフレクの魔法は、ファイガの魔法すらも容易にはじき返す。
リフレク接触前よりも更なる速度を得たファイガは、そのまま対象を変え、新たな対象に飛びかかる。
その先にいたもの――ベイガンにその魔法を避ける事はできなかった。もしかすると気づかない程の高速だったの
かもしれない。いや、気づいていても避ける事は困難であっただろう。
ファイガの魔法はベイガンに直撃した。
そのまま炎は爆発し、更なる連鎖爆発を起こす。
近くにいたセシル、ヤンは咄嗟に身を引き、屈め、爆風を凌いだ。
それほどまでに強大な魔法であった。

爆風が消え、その跡が視界に入ってくる。
地面の石床は大きな円形に穿たれ、頑丈そうな壁も粉々に砕かれている。
何とか、爆発で壊れなかった床や壁も、黒く焦げていた。
その風景だけで、その攻撃を浴びた者の末路は安易に予想できた。
「終わりましたか……」
その予想に行き着いたヤンがため息一つと共に、そう言った。
「でもさ……一体どういう事だったんだ?」
同じ心境であろう、ポロムには、その事よりも、先程の事態。
何故、リフレクを張っていたベイガンに魔法が直撃したのか? という事が気がかりであった。
「リフレクの魔法は魔法に反応して、それをはじき返す。だが、あまり知られては
いないが、それでも跳ね返せない魔法があるのだ……」
「つまり、一度跳ね返された魔法ってわけか……」
「そうじゃ。あの者もその利用には気づいておらんかったのだろうな……」
「すげえぜ……」
そこまで言ったテラにパロムは尊敬の眼差しを見せる。
「いやいや、別に私が発見した訳ではないのだからな……古くから有名な手段として使われて
おるのだからな。だが……」
「それに?」
パロムが同じ言葉で問い返す。
「反射した魔法は、もしかすると私自身に返ってくるかもしれなかったのだ」
リフレクの反射魔法は詠唱者へと戻ってくるのが一般的だ。
「そこを何とかコントロールしてな、あの者へと当てたのだ。結構な賭となった」
「本当かよ! そんな凄いぜ、爺ちゃん」
そんな芸当を出来るのは魔法に熟練したもののみであろう。
「いや、私とてかつての腕はもうないぞ……」
謙遜してはいるが、テラは少し嬉しいようであった。
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