決意1


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部屋の中心にある光の魔方陣。その上には深手を負った若者が三人。
白装束をまとった青年がその方向へ手をかざし、目を固く閉じて意識を集中させる。
たちまち掌に暖かい光が灯り、美しい軌跡を描いて彼らに注ぎ込まれた。
「……ミンウ、助かりますか?」
高貴な顔立ちに不安そうな表情を浮かべ、傍らの女性は白魔導士に尋ねた。
「はい、王女。時期に意識を取り戻します。強い生命力を感じます」
ミンウのその言葉を聞き、ヒルダ王女は安堵した。
フィンからの避難の際、彼らは血の海に倒れていたところを発見された。
三人ともひどい出血で、今にも死にそうだったところを慌てて担ぎこまれたのである。
「優秀な白魔導士であるあなたなら、この子たちを助けられると思ったので……」
「もう大丈夫、この魔方陣が生命力を増幅させます……そっとしておきましょう」
「安心しました。それでは会議に行きましょう。皆、会議に集まっている頃です」
外套をバサリと翻し、若者たちに背を向ける。その表情は、まるで苦虫を噛み潰したかのごとく険しい。
理由はこのアルテアより遥か北の地、バフスクにある。そこで帝国は、現地の人々に大戦艦の製造を強要していた。
大戦艦が完成したら帝国は殺戮のかぎりを尽くし、まもなく世界を支配するだろう。
それまでに策を練り、何としてでも止めなければならない。
早足で議場に向かう王女。ミンウは一瞬振り返った後、その背中に続いた。


「う……」
かすかな身じろぎのあと、フリオニールは目を覚ました。
目に映ったのは灰色の雲で覆われた気持ちの悪い空ではなく、湿っぽく、少しくすんだ茶色の天井。
おぞましい黒騎士は、血で赤く光る槍はどこへ行った。
(俺たちは、生き残ったのか?)
試しに、ゆっくりと貫かれたあたりに手を伸ばす。血の感触も、激しい痛みもなかった。
うまく考えることができなかった。色々なことがいっぺんに起こったから、無理もないかもしれない。
「ここは……」
やけに重い体を起こし、緩慢な動きであたりを見回す。レンガ造りの部屋で、自分の下にある魔方陣以外何もなかった。
そう、何も。
「……! 皆は!?」
目を見開き、よろよろと立ちあがると、フリオニールは扉に向かって走った。
自分だけが生き残ったのか。皆はちゃんといるのか。
足が思ったように動かなかったが、そんな些細なことなど気にしてはいられない。
フリオニールの発した仲間の名が部屋中をこだまし、扉が勢い良く開かれた。

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