決意2


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マリアは抱えた膝に額を押しつけながら、扉が開くのをただじっと待っていた。
ガイもまた座ったきり、一言もしゃべらずその状態を維持している。
先に目覚めた二人だが、一番重症だった彼はまだ目覚めていない。
(もしこのまま目覚めなかったら……)
さっきから浮かんでくる考えを、そんなことはないと懸命に振り払う。ガイもこんな気持ちなのだろうか。
「ねえ、ガイ。フリオニール遅いね」
「……フリオニール、ねぼすけ」
ぽつりと出た彼なりの冗談に、マリアはくすりと笑う。
「ほんとにね。早く起きてくればいいのに……」
その時、突然大きな音をたてて扉が開き、二人はびくっ、と肩を震わせる。
扉から見慣れた、だが一番会いたかった青年がつんのめりながら出てきたのを目にすると、彼女らは眼を輝かせながら駆け寄った。
「フリオニール! よかった……私……」
わずかに涙を浮かべて安堵するマリアにフリオニールは笑いかけた。ガイも嬉しそうにほほ笑む。だがどちらも形だけの、すぐに壊れてしまいそうな笑みだった。
「……レオンハルトは?」
もしかしたら、自分たちのように助けられているかもしれない、という僅かな希望を問いかける。
しかし、ガイは表情を心底悲しそうなものに変えると、首を横に振った。
「フィンの王女、助けた、俺達……レオンハルト、いなかった」
「そうか……」
単身であの黒騎士たちに挑んだのだ。可能性は絶望的である。
マリアは下を向いて顔を上げない。肉親をこの一日で一気に亡くしたのだ、きっと泣いているのだろう。
フリオニールもガイも、共に泣きたかった。だがそれを、自分たちをかばってくれたレオンハルトは望んでいるのだろうか。
彼は確かに生き延びろと言った。そして、妹を頼むとも。青年は込み上げてきたものを、無理矢理心の奥に仕舞い込んだ。
「そういえば……ここはどこなんだろう」
気分を変えるため、というわけでもないが、目覚めたばかりのフリオニールはここがどこか、全く見当つかなかった。
泣くのをやめ、マリアは掠れた声でゆっくりと伝える。
「アルテアの反乱軍のアジトなんだって……フィンの人たちはここに避難しているみたい」
「……ふむ」
フリオニールは曖昧にうなずくと、腕を組んで考え込む。しばらく黙った後、まっすぐに二人を見て告げた。
「俺、反乱軍に入ろうと思う。王女には恩があるし、何よりこのまま何もしないのは嫌なんだ」
レオンハルトと別れた時の自分の無力さ。そんなものは、もう二度と味わいたくなかった。
そんな彼に、マリアは表情を少し強張らせて問いかける。
「黒騎士を見たでしょう? 私たちの相手は、人ではないのもいる……それでも?」
「ああ」
変わらないまなざしで短く即答するフリオニール。こうなれば止めることは容易ではない。
二人は黙っていたが、顔を見合わせると、穏やかな声で青年に誓う。
「俺も入る。手伝いたい」
「私もよ。ただ待っているだけなんて、そんなの嫌」
「二人とも……。わかったよ」
それぞれの顔を見て、頷き合う。
不安は少なくなかったが、何かあっても切り抜けてみせるという意志が、三人の中に生まれた。
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