変わる世界 交錯する言葉27


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「とにかく大丈夫じゃ! 先を急ぐぞ」
何度この言葉をいっただろう。
それだけ言って、テラはまた率先して先へと進む。
焦りにより歩幅を速める最中、どこからともなく笑い声が漏れた。
だがそれは、年配者達のやりとりを微笑ましく見守るような笑いではなく、まるで
こちらを嘲うかのような薄笑いであった。
「誰だ!」
テラは瞬時にそれが悪意ある者の声であると断定した。
先を急ごうと思う焦りと敵を前に気が立っている自分の早計な判断であったかと思ったが、
振り向くとヤンも今の声をよからぬ者と認識したのか、戦闘の構えをとっている。
「そんなに怒るなっての……!」
「そうそう……私達がわざわざ出向いてやったのよ」
聞くと。声は一つではなかった。
「のう姉じゃ?」
声の一つ――幼い子供の様に聞こえる声が言った。
「クリスタルは私等でいただく! 我ら姉妹のデルタアタックでローザとお別れさ!」
もう一つの声――先程の声よりかはいくらか年上の声が言った。
姉妹と名乗っていることから見てもやはり声は複数によるものだ。それに今、はっきりとローザ、そして
クリスタルと言った。
「やはりゴルベーザの奴、刺客を差し向けてきたか!」
ローザと言ったからには奴の手の者である事は間違いない。それに、クリスタルを頂くと言ったのだ。
どう考えても此方に好意的な者達ではないだろう。
衝突は避けられない。そう悟ったテラは威嚇をこめて言葉を放つ。
「少し違うな……私たちはこの塔を司る四天王風のバルバリシア様の片腕……メーガス三姉妹!
まあ、ゴルベーザ様の命であることは間違いないのだがな……」
「何用だ……と聞くのは野暮というものだな?」
「察しがいいな、クリスタルは私達が此処で頂く!」
クリスタルはテラが持っていた。セシルは持っていてくれと頼んできたので自分が持っていた。
「メーガス三姉妹の三女ドグ!」
姿を現した。一見幼い子童のようだが、間違いなく邪悪な気配を漂わせている。
「私は次女ラグ!」
同じく、先程の年上の様な声の者が姿を現す。やはり声の印象通り、ドグとは親子程の違いのある背丈だ。
「そして私が長女のマグ!」
先程から二人を取り仕切っているであろう声の主であろう太めの女性が姿を現す。一見すると次女ラグの方が長女らしく
見えるが、口調や貫禄を見れば彼女が長女であると推測するのは難しくない。
「我ら姉妹のデルタアタックでローザとお別れさ」
デルタアタック――矢継ぎ早の紹介が済まされた後、彼女らはそう言った。
その言葉を聞くとテラのしかめっ面にふっと笑いがこぼれた。
「何、何がおかしい!?」
メーガス三姉妹の誰からともなく驚きの声が上がった。予想外に余裕のある老魔道士に多少の揺らぎを
感じたのだろう。
「私にその手は通じんよ」
すでに一度くらっている。それに賢者と呼ばれた自分にとってはお見通しである。
そしてこんなところで足止めなどくらっていられない……そしてここで朽ちるなどあってはならない。
「それにローザの想い人はここにはおらぬぞ……残念だったな」
「ええい、そのような口上はどうでもよいわ! 姉じゃ!」
「ああ、ドグ頼む!」
「いくぞ!」
「いまだラグ!」
やはりな、今の自分にはすべて見通せる。これも死にゆく者の勘であるのか……
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