変わる世界 交錯する言葉32


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「今までの私では駄目だった。だけど今なら言えるわ! どんなに遅かろうが、どんな状況だろうが言わなければ駄目!
本当の……」
「でもあんたはどこにも行けない……行くことが出来ない!」
揺らぐことも曇ることもなさそうなローザの言葉に対してバルバリシアは語気を荒める。何故そうなったのかは自分でも
良く分からない。だが、焦燥にかられているのは間違い無く自分だ。
「分ってるわよそんな事……でも以前の私とは違うのよ」
「カインと言ったかな……奴は此方に付いたようだが?」
バルバリシアは紛れもない事実を突き付ける。否定する事が出来ないだろう。
「そうね……でも彼は他人」
「大切な人じゃなかったのかい!?」
質問をはぐらかされたような気分がしてバルバリシアは語気を荒める。実際は平静さを保っている彼女に対して――否定も肯定も
しないセオリー外の態度を取る彼女にどうしようもない苛立ちを感じ始めていたのだ。
「他人の気持ちなんて分かるわけないわ。解決するのは自分。悩みも苦労も自分でどうにかするの。幸せは自分で手にする。
無論、誰かの力を借りる時もある、でもそれは気休めよ」
もはやバルバリシアは黙って次の言葉を待つしかなかった。
「むしろ他人の目や気持ちを気にして自分を殺すことは不幸の始まりなの。しがらみに捕らわれた自分は、やがて他人も不幸に
していく、それは歯止めが利かなく広がってくのよ」
「いま奴らは……セシルとカインは戦っている!」
その口を閉じろと言わんばりにもう一つの事実を突き付ける。
「私のせいね多分」
あっさりとそう言った。
「何も思わないのか? 悪いとか……」
「当然、思ってるわよ。でもそれ以上に強いのは自分への嫌悪感。私はどっちも、二人ともが大切だった
しかし、一番好きなのは自分だった。だから傷つけることも出来なかったし、答える事も出来なかった
結局、それは一番の不幸を招いてしまった。失った時を取り戻そうとは思わない。大事なのはこれからなの」
「そうか……」
その言葉の全てを理解できたとはバルバリシアは思わなかった。
しかし、ローザとはこれ以上話していたくはなかった。彼女がとるに足らない存在だと思ったからか?
違う……このまま続けてしまうと、バルバリシア自身が平静を保っていられなくなると感じたからだ。
互いに価値観の違う者が、折衷案を出さずに長き時を友にすれば、どちらかが壊れてしまう。
そう悟ったバルバリシアは一言だけ言い残すとその場を退出するべく踵を返した。
「やっぱりわかんないね……でも今回ばかりは一泡食わされたって感じかな」
最後にそうとだけ言い残して。
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