穿つ流星2


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体に喝を入れ魔法を詠唱する。

ファイガ――炎の最上級魔法がゴルベーザの身を包む。
ブリザガ――凍てつく氷結の刃が漆黒の鎧を貫く。
サンダガ――幾多もの稲妻の渦がゴルベーザを囲いこむ。

そのどれもがすさまじい威力のはずであった――
ゾットの機械塔を切り刻み、幾重の爆風、爆煙が舞った。
だが、その中であっても漆黒の男は未だ、打ち倒す事は出来なかった。
「ほう……すばらしいな。たしかにこれでは私も完全に安全とは言い切れないな」
だが、危機的な言葉を口にするゴルベーザの言葉の影から常に余裕の言葉が見え隠れする。
「残念だが、これでは私を倒すことは出来ぬな。まずは、今の一撃は確かに見事であった。
だが、今と同じ程の威力の魔法を私に叩き込む事ができるのかな?」
「…………」
無言を貫くテラ。
確かに奴の言う通り、今の火氷雷の最上位魔法の一斉掃射は、渾身の一撃だという自負も
あった。出来ることなら今ので終りにしたかったのだが。
指摘通り、今と同じ威力の攻撃をもう一度繰り返せるか? 無理だとはいわない。
だが、それをすればテラの体は持たないであろう。
「そして、その老体の体は確実に衰えている。仮にもかつて賢者と呼ばれた者……実力は
この程度ではなかったのだろう?」
そうなのだ……先の最上位魔法は確かに強力であるのは間違いないのだが、白魔法黒魔法
両者においても、これ以上の威力をほこる魔法は存在する。
黒魔法最上位のフレア、白魔法最上位のホーリー。どちらもかつてのテラなら容易くとまで
はいかないにしろ行使できた代物なのだ。
「打つ手はないようだな」
またもや心の見透かしたかのようなゴルベーザの一言。
「では遊びはここまでだ。さっきも言ったが、ご老体に用は無い。もう少し使いどころが
あれば私の部下にしてやらなくもないが」
「あのカインという者のようにか」
「ふふふ……お前もなかなかの憎しみだぞ……」
やはり憎しみに捉われるとゴルベーザにつけこまれるのか――当然ながら自分が絶大な憎しみ
を抱えている自覚はテラにもある。
「利用するまでもないという事だな」
「良く分かっているではないか」
さらばだ。そう言ってゴルベーザも魔法の詠唱を始めようとするが――
「ふふふふふふははははははは――――」
突如テラが笑い始めた。苦笑でも悲しみでも嬉しみでもない。ただ奇怪なまでにケタケタと笑い続ける。
「死に損ないめ! おかしくなったか?」
ゴルベーザの方も予想外だったのか、驚いた反応を見せる。
「ならば良いだろう。私もようやく踏ん切りがついたわい!」
今度は大きく雄たけびを上げるかのごとく強気な怒声を上げる。
「この憎しみをありったけくれてやるぞ! この私の痛み、アンナの痛み! 全てお前にぶつけてやる
ぞ! 利用しなかったことを後悔するがいい!」
「強気だな! 何をするつもりだ!」
「時が訪れたのだよ……」
実際にこの場面がやってくることはおぼろげに想像しながらも、テラはその状況を具体的にイメージする
事はできないでいた。
だが……不思議なことに今ははっきりと想像できる。覚悟も出来た。
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