穿つ流星5


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瞬間、世界は震撼した――
世界中のありとあらゆる生物が異変を感じ取ったであろう。
一瞬の内に強大な魔力が世界の一点――ゾットの塔へと集約されていく。
それは一人の高名な賢者の全身全霊の想いと力。
それは復讐に燃える黒き炎。
それは愛する者を大切に思う人として当然の心。
様々な要素が含まれるその魔力を察知し、甚大な威力を誇る大粒の隕石状の物体が大空より大量に降り注ぐ。
ただ一点に。今紛れもなく世界の中心として動いている場所ゾットへと向かって。
その世界の中心で精一杯に自我を叫び、血肉を己の想いへと変えた賢者の気持ちに応えるべく。

ミシディアの中核にそびえる祈りの塔。ゾットより遥か離れた遠方の地でも巨大な魔力は感じ取られていた。
「長老これは――」
祈りに専念していた一人の魔道士が耐えかねたかのように話を振る――しかし、長老は無言を貫きとおす。
「間違いないわ――」
一人の魔道士が代理とばかりに返答し、話を続ける。
「メテオ」
誰かが言った。優秀な魔道士達の集約するこの場所において、そう結論づけるのにはさしたる時間がかからなかった。
「メテオだと」
正解だと言わんばかりに、複数の者達が一斉にその言葉を口にした。
最前まで沈黙の支配していた祈りの塔内部は既にざわめきの声が勝っている。
「長老!」
今度は先程に増して強く訴えかける者が一人。
「わかっておる」
重い口を長老は開いた。
「憎しみに捉われたのか――あれほどまでに危惧したというのに」
何か他の事に違いない。そう信じたかった。
だが、長老には分かってしまったのだ。誰に悔んでいいのかわからない。
「失礼しました」
長老の事情に詳しい者の一人が
「今は祈りの時――どんな大事であろうともそれは揺るがぬ」
慌てふためく周囲をその一言だけ言って静める。
「ですが……」
「言うな」
静かに言った。
戸惑いの支配する塔内部。彼だけは懺悔と行き場の無い悔しさを抱えていた。
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