穿つ流星11


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「セ……シルか……」
その声は今にも消え入りそうであった。
見れば、肌は枯れ木のような褐色の色になり痩せこけている。そして、儚くも残ったその肉体すらも細かな魔力粒になって
拡散してしまいそうだ。
魔力を使い果たした者の末路……それはただの死ではない。肉体すらも残る事のない完全なる消滅。
「おい、喋るな!」
シドが叱責する。それは消えゆく灯火を必死に止めようとしているかのようであった。
「やはり――」
メテオがどんな魔法かは分かっているつもりであったし、今のテラにそれを行使する為にどんな代償があるのかも
分かっているはずだった。
だが予想できたはずであろう恐ろしい事態であろうともいざ実際に遭遇してしまうと、息を呑まざるを得ない。
長老の言いつけを守ればなかった……もし自分がここにいればテラを止める事ができたのだろうか?
「それははカイン――殿ですか?」
一瞬だが殿を付けるのをためらった後、ヤンが尋ねる。。
恨み節をぶつけたい気持ちもあったのだろう。だが今は状況の確認程度に留めておくべきだと判断したのだろう。
「ああ……どうやらさっきの衝撃で術が解けたようだ。もう心配ない…」
結局自分は友人を助ける為にテラを犠牲にしてしまったようなものだ。
「ならば! ゴルベーザは」
テラが期待したであろう言葉をシドが代弁する。
ここまで付き添ったシドにとってはテラの目的の成就は自分の事のように嬉しかったのだろう。
「いや……それが」
本当の事をいうか一瞬悩んだ。
今の状況ではテラの命はもはや長くはないであろう。
だが、そのような消えゆく命の灯火に不本意な事実を教えるのは酷な事ではないか?
最期くらいはせめて辛い現実など何も知らずに逝かせるべきなのでは?
「倒せなんだか……」
言い淀むセシルの言葉を打ち消したのはテラ本人からであった。
「すまない――」
何もかも見通しのようであった。
この場に及んで嘘をつこうとした自分に対し、罪悪感が増す。
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