穿つ流星20


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「ギルバート達はいないの……?」
「彼は今、病床に伏せっておられます」
「え!」
言い淀みかけていたセシルに助け船を出したのはヤンであった。
しかし、堅気な性格の彼の言葉は逆にローザの心配を強くしたようだ。
「安心して……ローザ。ギルバートはね、旅の途中で少し怪我をしただけだよ。そんなに重い怪我では
なかったからもう大丈夫だよ!」
嘘は言っていない。ギルバートの命に別状はない。
「そうだよね……ヤン」
「かたじけない」
自分の言葉にフォローを入れてくれた事に感謝の言葉を述べるヤン。だがその顔はまだ曇った表情である。
その表情から、やはりヤンもセシルと同じ気持ちであったのだろうと確信する。
ローザが捕らわれた後、すぐさまセシル達一向は目的を果たすべくバロンへと船を出した。
結果、セシルは仲間達と離れバロンから数えて二度目と言えるべき旅立ちを経験した。その最中にはもはや諦めかけていた
仲間達との再会もあった。
だが……はぐれてしまった仲間達の中で、いまだに再開できていない人物がいる。
「リディアはどこにいるの……?」
セシル達が説明する必要も無くローザからはその人物の名が出てくる。
「それは……」
ヤンの口が曇る。
彼女の今の所在はセシル達にも分かっていない。生きていると信じている。
しかしそれは唯の希望であり、確信を帯びたものではない。
所詮は唯の願望。いつ残酷な事実がやってきて打ち砕いてしまってもおかしくはない脆い想い。
「リディアも今……別行動をとっている」
嘘とも真でもない曖昧な返答。だが……今のセシルはリディアに対する確実な事実を持っていない。
ローザはあの船の出来事を知らない。もし知ってしまえば、リディアの所存に絶望するであろう。
無駄な心配を増やす事は良くないとセシルは判断した。それに、セシル自身はリディアがまだどこかで生きていると
信じていた。
未定である事態に対しては一人でも多く希望を持っていた方がいい。
余計な不安の数が募れば、その先にある未来にすら霧を募らせるのではないか?
「あの娘が今どんな事をしているのかは分らない、でもいつかはどんな姿でも僕たちに元気な姿を見せてくれるよ」
「そうなの……」
「ああ……そうさ!」
今は信じて彼女との邂逅へと希望を馳せるまでだ……
「とにかく! ここに来るまで、僕だけじゃない沢山の人が助けてくれたんだ! ギルバート、ヤン、シド
テラ……それにカインも――」
話を逸らすつもりはなかったが、その言葉が転機をなった。
「カイン――」
<彼>の名を聞き、ローザは咄嗟に視線を後ろへと巡らした。
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