穿つ流星28


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「行くぞ、セシル!}
そして、その終わりを見届けぬうちにセシルへと言い放ち、駈け出そうとしていた。
「ゾットの崩壊は始まっている。早くシド達の元へ行かねば間に合わんぞ!」
「ああ!」
セシルも慌てて呼応する。
だが、既に崩壊を始めてからかなりの時を経ているゾットの塔を脱出するのはかなりの困難を要する事
は想像に容易かった。
「くそッ!」
「二人共! 私に掴まって!」
カインとセシルが分の悪い駆けに出ようとした瞬間、二人を呼びとめる声がした。
ローザである
「ローザ?」
「早く!」
考えている時間は無さそうである。二人はすぐさまローザの手を取った。
瞬間、セシルの視界は少しだけ歪んだ。
「これは……」
極一部の空間に捻じれを生じさせ、その限られた場所にいる対象――人や物――を別の場所へと移動させる。
転移魔法――その詠唱には強力な攻撃魔法程の時間がかからないにせよ、極度の集中力を要する。
(ローザは戦いの最中、この魔法を)
戦前から続く沈黙はその為だったのだろう。それはつまりセシル達の勝利を信じていたという事。
そしてセシルとカインを救い出そうとしてくれていた。
(すまない)
感謝の気持ちが言葉になる前にセシル達三人の姿は崩れゆくゾットの塔から消えていた。
後に残されたのは何もない。ただ、幾多もの野望や想いの渦巻いた瓦礫の舞台が終幕を告げるように幕を下ろすだけであった。
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