終わりの始まり9


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「久しぶりだな。セシル」
山肌が多数を占めるこの島に飛空挺を止めるのはえらく難儀な事であった。
なんとか平坦な地形を見つけ出し、着艦すると此方に向かってやってくる声が一つ。
その声は着艦の苦労と疲労を打ち消すには充分すぎるものであった。
「カイン」
言葉通り、しばらくであったカインの声はセシルもよく見知ったものであった。
「僕も、久し振りだね」
会話を続けさせつつも、セシルはカインの姿をまじまじと観察した。
友を信用していない訳ではない。だがゴルベーザに操られていた頃のカインの印象は未だセシルの頭には残っていた。
もしかするとカインが正常に戻ったのは幻であったのではないか? ふいにそんな疑問がよぎったのだ。
「何所まで知っている?」
だが、セシルの疑惑の視線を別段気にする様子も無く、カインは言葉を続ける。
「え……?」
冷静な面持ちを維持したままのカインに自分の考えが杞憂であった事を悟る。
「まだ何も知らないようだな」
曖昧な返事のまま沈黙しているとカインから再び口を開いた。
「クリスタルが四つがゴルベーザの手に渡った。それは分かっているな?」
「ああ」
どうやら自分は無駄な事を考えていたようだ。先ほどまでの考えを頭の隅に追いやる。
「これで全てのクリスタルが奴の手に渡ったことになる」
ゴルベーザの目的が何であるかはまだ分からない。だが、奴は血眼になってクリスタルを探してそれを手中に収めようとしていた。
それだけに関していえば奴の目的は成就されてしまった。状況的に見てセシル達は負けているのだ。
「いや、クリスタルは四つしか揃っていない」
会話の流れ上、あまり意味なく呟いた言葉であったが即座に否定されて驚く。
「どういう事?」
「簡単な話だ。クリスタルは四つで全てではない」
続く言葉を待った。
「世の中何事に関しても表と裏、二つの側面が用意されている。そう何事にもだ……それはクリスタルとしても
例外ではない……」
「表と裏……」
セシルも反芻する。
自分にも暗黒騎士という一面があった。そして今の自分であるパラディンという一面がある。
このように人は誰しも今の自分以外の影と呼べる存在を従えている。
その影は自らで否定しようにもする事が出来ないもの。光があれば影もある。それは何事も逆らえぬ摂理とでも言うのだろうか。
「思ったより受け入れがいいようだ……安心したぞ」
静かに思考するセシルを見ての感想であろう。
「ああ。共感できる所が多々あるからね」
「ふ……まあ今はそれだけ分かっていればいい。ここから先は場所を移してから話す事にしよう。俺達だけで話す事は出来ん」
そう言って踵を返す。
「ローザも連れて来い……」
少しどよめきながらカインは言った。
「分かった」
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