終わりの始まり14


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「…………」
その言葉を聞いてもなおセシルは黙りこんでいた。言葉が出なかった訳ではない考え込んでいたのだ。
この地上世界と地底世界は完全に遮断された別世界などではなく、どこかでつながっている世界である。そして両者間の
世界を実際に移動する事は可能なのである。
しかし、それは手放しに喜べる事ではない。セシル達が地底へ行くことが出来るのならば、ゴルベーザも例外ではないだろう。
地底世界の存在をどれくらいの人間が知っているのかは良く分からないが、其処には人――地底人とでも言うべき存在がいる。
もう誰にも犠牲になってほしくはない。より一層急ぐ理由が出てきた。
「正確には<可能>ではな<可能>になったというのが正しいのだけどね」
意思を固め、地底へと行く方法を尋ねようとしたところでコリオが再び口を開いた。
「遂最近の話だけど、世界を大きく震撼させる衝撃があっただろう?」
心辺りはすぐに分かった。テラのメテオの事だ。
「……ああ」
その場にいた当事者として複雑に思う所があるものの、こくりと頷いた。
「あの影響で地上と地底を隔てていた境界、<膜>とでも言った方がいいのかな……その部分が非常に不安定になっているようなんだ」
コリオは別段、メテオが起こした事象を批判する訳でも恨みをぶつけているわけでもない。だが一つ一つの言葉が小さな棘のように
セシルに突き刺さる。
「実際に大地のあちこちに穿たれたような箇所があるだろ……そのような場所は特に<膜>が不安定になっている。さすがに
全てという訳ではないが幾つかの箇所からは、直接地底へとそれも往復が出来るようになったんだよ。まさに不幸中の幸いといえるよね」
不幸とはテラのメテオで大地が穿たれた事である。では幸いとは……
「これでゴルベーザを出し抜くという程ではないが対等の立場へと立つ事が出来る」
今度はカインが切り出した。
「ゴルベーザの奴は地上と地底、二つの世界を安定して往復する手段を探していた。各地のクリスタルを略奪するだけでなく
世界を結ぶ場所を探していた……そして奴はそれを探し当てた」
声に力が籠る。
「その場所は二つあった、一つはゾットの塔。だがこの塔は既に先の戦闘で破壊され使い物にならない。そしてもう一つが
バブイルの塔。エブラーナ国にそびえたつ謎の巨頭とされていた所だ」
その場所はセシルも知っていた。ゾットを見た時、バブイルの塔に似ていると思ったが、よもや同じような機能を持っていたとは。
「ゴルベーザはその二つの塔を確保した、それで二つの世界の往復を自分で独占したものだと思っていた。ゾットを爆破したのも
俺達に利用されるのを嫌ったからだ。バブイルさえ残っていれば地底へは行くことができるからな」
段々とセシルにも分かってきた。つまり何が幸なのかと言えば――
「先の世界の衝撃は奴にとっても予想外にしなかった事だ。ましてやそれの所為で地上と地底を行き来する手段がバブイルの塔以外
にもあるとは誤算以外の何者でもない。そして俺達から見ればこれは願ってもみないチャンスなんだ」
老魔道士の放ったメテオ。術者が何を想っていたのかは既に知る由もない。しかし、メテオは新たな戦いの幕開けの開始となったことは確かだ。
同時にそれは完璧のはずであったゴルベーザの作戦が狂い、セシル達に逆転のチャンスを作る結果にもなったのだ。
「テラ……」
腕に力が籠る。地上に被害は出たが、メテオによる歪みがなければゴルベーザに対抗する手段は無く、完全なチックメイトであった。
例えゴルベーザを倒す事は出来なくともテラのメテオは無駄ではなかった。
(ありがとう。後は僕に任せてくれ)
彼が命と引き換えに示してくれた唯一の手段。それを最大限に利用するのが今のセシルの使命であると言える。
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