罪の在処8


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それはカルコブリーナ達から噴出した黒き波動がゴルベーザを形作った時の様子に似ていた。
黒き霧は集まるにれ大きさを増す。やがてはもくもくとしたそれは次第にはっきりとした線となり輪郭を描く。
違うところと言えば、ゴルベーザの時に比べて霧の量が多く、集まったそれも何倍もの大きさであった事である。
一つの形になろうとしている霧がとてつもなく巨大なものになろうとしているのは想像するまでもなかった。
「参れ、黒龍!」
ゴルベーザの合図とともに霧がその姿を完全なものにする。
現れたのはゴルベーザの甲冑と同じ漆黒の鱗に包まれ、黒き瞳を宿した巨大な龍。
「やれ」
ゴルベーザの指示に呼応するかのように黒龍と呼んだそれが咆哮を上げる。
黒龍は大きく息を吐き、鋭い牙が見え隠れする口から霧を吐いた。先程の黒龍やゴルベーザを形成した時に
比べればそれほどの大きさではないが、やはり何かの形を形成する。
それは一つの鋭利な刃物のようであった。じっくりと瞳をこらすと曲線状をしている。
まるで牙のようなそれは勢いをつけてこちらに向かってくる。
やがてそれは動けぬままおその場へと座り込むヤンの体へと、的を外す事のないような正確さで突き刺ささる。
「ヤン!」
その様子に誰かが声を上げた。おそらく同時にセシル達三人の誰かが言ったのだろう。
曲線上の鋭利な刃物。正確には牙と言っていいそれが体に突き刺さったヤンはがっくりとその場へと倒れこんだ。
すぐにでも駆け寄って治療をせねばならない。そう思ったが体が動かない。さきほどの呪縛の冷気とやらのせいであろう。
焦る気持ちを抑えつつもその場からヤンの様子を観察してみると不思議な事がわかった。
強靭な体に間違い無く牙は突き刺さっている。だが、不思議な事に血は出ていない。
しかし、倒れんだヤンの表情は苦悶に満ちている。それは痛みを感じているのではなく、まるで何かに苦しんでいるかのようだ。
「仲間の心配をしている場合ではないぞ!」
ゴルベーザの声がする。振り返る間もなく続けて何かが飛来する気配。おそらくヤンの体を貫いたもの同じ牙であろう。
恐ろしい早さで襲来する牙を交わす事は出来なかった。否、例え気づいていたとしても今の動けぬからだでは避ける事はできなかったであろう。

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