罪の在処10


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「教えてやろう」
どれくらいの時間が経ったか? どうすればいいと思考するときの時間は無限とすら思えた。
だが、時間としてみればそれほどの時間は経ってないだろう。
牙を刺された三人は未だに苦しんでいる。だがそれはまだ苦しむだけの命が残されているということだ。
「私がクリスタルを集める目的を」
「何故だ?」
急に口数の増えたゴルベーザに疑問の声をぶつけた。
「お前は僕たち始末するつもりだろう。だからなのか?」
「まあそんなところだ」
簡単な答えを言った後ゴルベーザは続けた。
「地底と地上の二つの世界のクリスタル。光と闇あわせて八つのクリスタル。それらが
揃う時、封印されたバブイルの塔の真の力が復活する」
バブイルの塔――ゾットと同じ、謎に包まれた機械巨塔。
「あそこは地底と地上を結ぶだけではないのか……?」
「ゾットの内部を見たであろう?」
質問に対し質問を返すゴルベーザ。
「ああ、とてもじゃないが常識では考えられない場所だった」
「ゾットはこの世界の表と裏を結ぶだけではない。遥か空に浮かぶ月とこの世界を結ぶ場所でもあるのだ」
それがゾットの本来の力。だが驚くよりも先に、会話の中で出てきた月という言葉がセシルを脳裏を強く支配した。
「これは私の推測なのだが……?」
月――子供のころから何故かセシルは月に強く引かれてた。夜空を見上げれば自然と月へと手を伸ばし、しばらくの間、夜の
闇の中ぽっかりと描かれた金色の円を見続けていた。
時にはそのまますいこまれてしまうのではないかと思う程であり、バロン王を心配させた事もある。
いつしか月に対し強い思い入れを抱くようになっていた。
「お前も思った通り、ゾットとバブイルの両者ともその内装は現在のこの世界では考えられない程の技術で造られている。
ならばあれは誰が作ったのか? そこで私は考えた。あれは月からもたらされたのではないかと」
感傷に浸るセシルをゴルベーザの言葉が現実へと引きもどす。
「それはつまり月にも人が存在するという事か?」
荒唐無稽だなどど完全に否定できる気はしなかった。この地底にも人類が存在していたのだ。それならば月にも人が
存在してもおかしくないのではないか。
「そしてあの塔から察するに月には――月の民とでもよぶべき存在には我々の常識を超えた技術を有しているはずだ」
「それをどうするつもりだ?」
セシルにはその仮説を否定する気はなかった。むしろいつも惹かれていた月にも誰か人が住んでいるというのは、色々な意味で
興味深かった。
「決まっているだろう。この手に収めるだけだ」
「やはりか」
眼前にいる野望の秘めたる黒騎士が見逃すとは思えなかった。地上のクリスタルを奪い、各国を蹂躙し世界を驚異に陥れた
ゴルベーザ。その手は地底まで伸びた。月の存在を知った今、みすみすと逃しておくほど奴の目は甘くはない。
「ならば僕はお前を逃がすわけにはいかない!」
「その体で何が出来る」
指摘の通りだった。
その一言以降、ゴルベーザは何も言わなくなった。呪縛の冷気により動けない体での長い時間が再びやってきた。

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