罪の在処15


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ゴルベーザは去り、辺りの黒の気配は微塵も感じられなくなった。
新たに周囲を覆っていた霧もいつの間にか消えていた。霧に関してはリディアが張ったものだ。
おそらくは彼女自身が霧の展開を止めたのだろう。元々黒龍の驚異を退ける為のもの。それが
なくなったという事はこの場所での戦いは終わりを迎えたと言うことだ。
ひんやりとしたクリスタルルームに穏やかな雰囲気と共に視界が戻ってきていた。
一連の喧噪が嘘のように静まりかえったその場所には、一つだけ変化があった。中央に設置された台座、
そこに本来置かれるべきである光り輝くクリスタルが消え去っていたのだ。
主役とも言えるべきものを失ったこの場所は静けさと同時に寂しさが同居しているかのようだ。
「リディアなのか」
そんな音の無い世界でヤンの驚愕の声は大きく響き渡った。
「信じられない……」
ローザも同意見のようだ。
黒龍から受けた一撃から幸いにも助かったヤン達は、セシルと同じく驚きの再会を体験する事となった。
「それにしてもリディア」
驚愕する彼らを尻目にセシルは一人別の話を切り出した。
「説明、いや話してくれるかい?」
無感量の感動の後にやって来るのは、理屈めいた疑問だ。
彼女の登場からゴルベーザとのやりとりの中には、セシル達の知らない言葉がいくつも混ざっていた。
それにしっかりと言葉には出してはいないが、彼女の外見の変化も当然の事ながら気になった。
記憶の中の彼女はあどけない幼子であった。それが今は逞しく何処か美しさを感じさせる姿だ。
十年――彼女の言葉によるとそれだけの時間が経過しているのだろう。以前のリディアが七つか八つ位の年齢で
あろうから、今は十代後半と推測される。とすればローザよりも一歳か二歳年下という事になる。
「大人」と言うのはまだ早いかもしれないが「少女」断定するのもおかしい。判断の難しい年頃だ。
何にしても、その様な急速な成長はセシル達の常識――否、地底世界からみても非常識な事態であった。
バロンへの船で彼女は離れてからまだ一月程度しか経っていない。現に再会を果たした他の仲間達は誰一人として
彼女の様な成長を遂げていない。
考えても分かることではない。ならば直接聞くしか手段はないであろう。

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