去りゆくもの 残されるもの6


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「!」
今にも消え入りそうな声の正体は、今までの間ずっと口を詰むんでいたローザであった。
それだけでも充分に驚くべきことであったが、発せられた言葉の内容はセシル達を更なる驚きへと誘った。
「どういうことだ?」
「私じゃなくて彼女に聞けばどうかのう~?」
別に誰かに質問するつもりで口を開いたわけではないが、最初に疑問への返答をしたのはルゲイエであった。
「ローザ……」
振り返った先に見えた彼女はすっかりと意気消沈し、今にも消えてしまいそうに小さくなっていた。
「そこにいる人――ルゲイエ先生は私の恩師なのよ」
視線が答えを求めている事が分かったのだろう。彼女は少しの間を経て口を開いた。
「まだ私がバロンの学校で白魔道士を目指していた頃だった。そこで私はルゲイエ先生に出会った」
「学校?」
今一事情が呑み込めないのか、リディアが尋ねる。
「私達――セシルやカインはバロンの学校に通っていたのよ」
「だから学校ってのは?」
「共通の目的を持った人達が皆で集まってお互いに交流を交わしたり、共に教養を深めていくところよ」
リディアの質問は、ローザの過去の詳細でなく学校という機関そのものに対しての疑問だったのであろう。
「ふ~ん。じゃあ先生ってのは?」
「そうね、あなたにとっての幻獣王様みたいなものよ」
「幻獣王様?」
唐突に聞きなれた言葉が出て驚いたような口を上げる。
「教える者と教え合うものの間柄って事かな? だったらおかしくない? 学校ってのはお互いが高め合う場所なんでしょ?
例えばミストの村ではかあさ――召喚士達は皆で集まってお互いに修練し合うことはあったよ。でもそれは皆が教えあう雰囲気
だったし。わざわざその先生っての――この場合は幻獣王様のような存在はいなかった」
説明はリディアに相次ぐ疑問を与えるばかりである。
「人生の先輩とでもいうのかしら。学校という場所はあらゆる人が集まるの。嘘をついたようになるけどさっき学校は共通の
目的を持った人が集まるっていったけどね。正しくはそうではないの」
悩める彼女にローザは少し考えてから言った。
「中には名誉の為、中には人生の模索の為、もしかしたら、他にも様々な目的があるかもしれない。それに共通の目的を
持った者と言っても、必ずしも相容れるものではない。ましてや学校には多種多様な人間がいるのよ。人間関係が必ずしも
円滑に進むとは限らない……」
セシルにも苦い記憶が呼び起こされた。
王に拾われ身寄りのない孤児だった。自分に対し、学校という場所は決して居心地のいい空間ではなかった。
カインやローザに出会わなければ自分はどうなっていただろう? 考えたくもないし、思いつきもしなかった。

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