去りゆくもの 残されるもの10


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「急がねば!」
一部始終を見終わらない内にヤンはルゲイエから受け取った鍵束を持ち走り出した。
「先にゆく――」
簡潔にそれだけ言ってヤンは姿を消した。
巨大砲を止めねば、地底も地上の国々と同じように甚大な被害をだしてしまう。それだけは断固として阻止をしたいのだろう。
セシルも同じ意見ではあるが、ましてや国を焼かれたことのあるヤンならばなおもその想いは強いのであろう。
本来ならばすぐにでもヤンの後を追うべきであるのだが、まだセシルにはやることがあった。
「…………」
「ローザ」
がっくりと膝をつき顔を項垂れている彼女にセシルは優しく声をかける。
彼女にとっては狂気にとりつかれ今この場所から飛び降りた人物は昔からの恩師なのである。
数多くの非人道的な行為やゴルベーザへの加担があってもその事実は変わらない。
だからこそ、余計に今の状況はつらいのであろう。良心との板挟みにあっている部分もあるのだろう。
「もう少しここに……」
「……行こう。ゆっくりでいいから……」
それだけ言い残してセシルも歩き出した。
しばらくは感傷に浸りたいであろうローザを強引に連れて行くことはしない。
彼女ならばこの困難すらも自らの手で乗り越えてくれるから……そして今の彼女に何か言葉をかけても
無責任な気休めにしかならないから……
親しい間柄でも、時には一人で思い悩むことがあるのは当然だから……

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