去りゆくもの 残されるもの12


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「セシル殿」
ほどなくしてヤンの返答が返ってきた。黒煙が視界を邪魔するこの場所で、現れたヤンは先程セシルの前から
姿を消した時となんら変わった様子はない。
「良かった」
どうやら心配は杞憂に終わったようだ。見たところ大した怪我もしてない。
「いえそれがあまり良くない状況なのです……」
しかし安堵の息を漏らすセシルに比べ、ヤンの表情は暗い。
「どういうこと?」
「ご覧の通りです」
そう言って回りへと視界を促すヤン。
「私がやってきた時には既にこの状態でした……」
つまりあらかじめ制御室は何者かの手によって壊されていたという事か。
それはどういう事を意味するのか?
「どうやら既に巨大砲の発射準備は完了してしまったようです……」
考えを張り巡らしている途中にヤンが口を開いた。
「だったらそれを止めないと――」
台詞の途中で自ら気づく。
「発射準備さえしておけばあとは放置しておけばいい。万が一それを阻止する者がやってきても、制御機械を壊しておけば
止めようがない。そういう事です」
セシルの様子を見てヤンが結論を述べた。
「あのルゲイエという男がここまで計算に入れていたのかは分かりません。しかしこれで我々が巨大砲を止める手段は
無くなった……」
冷静に語るヤンであるが拳は震えていた。打つ手なしといった状況が悔しいのだろう。

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