去りゆくもの 残されるもの19


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未だ敵陣のただ中であったが、誰もがほっと息を撫でおろしたその時であろうか。
急に騒がしい警報が辺りに響きわたったのは――
「何だ!?」
その場にいた誰かが疑問の声を上げた。一人、否、複数であったのかもしれない。
しかし今この場所にいる誰もが同じような疑問におそわれていたであろう。
「見つかってしまったか!!」
始めの驚きが通り過ぎた後に口を開いたのはシドであった。
そして、それは真実をついた言葉であると同時に混乱を呼び起こす言葉でもあった。
「まずいぞ」
実際にそうだと断定するにはまだ尚早であったであろう、しかし程無くして発着場と塔内部を繋ぐ場所から
幾多ものガードロボットが姿を現した。
「何故?」
このバブイルの塔に潜入した時はガードロボットの数も疎らで数えるほどしかいなかった。実際、大した妨害もなく巨大砲の
場所にまでは辿りつけた。結果はどうであってもだ。
考えるまでもなかった――いくら陽動部隊で引きつけたといっても敵がただ何も考えずに行動しているはずもない。
巨大砲を破壊した騒ぎを聞きつけて、潜入者がいることに気づいたのであろう。つまり陽動部隊に割かれていた戦力が警備に戻って
きたのだ。
「だとしたらまずいことになったな……」
陽動部隊はあくまで陽動が役割なのだ。このまま戦車隊が勢いにまかせてバブイルを攻め落とすことは不可能だ。
となれば残された選択は撤退しかない。そうなれば、更に警備は強くなってしまうだろう。
だとしたらクリスタル奪還どころか、この場所を脱出する事すら困難になってしまう。
「さっさと逃げるぞ! セシル」
作戦指揮をとる者であるからだろうか、一早くセシルと同じ結論に達したシドがそう言った。
「ああ」
その考えにセシルも同意であった。このまま躊躇していては全滅であるし、無理を通して強行突破でクリスタルを取り返そうと
してもどちらも勝率としては非常に低いものであろう。一時退却。この響きに不名誉を感じる司令官もいるであろうが、状況が
状況だ。逃げることも立派な戦術の一つだ。
(でも……)
バロンの旅立ち以来、ゴルベーザとの戦いにおいて後手に回り続けている自分が少しだけ悔しかった。自ら打って出たのは
偽物の王を倒した時くらいであろうか。
もっと状況を正確に判断してれば違った結果になっただろうか? しかし過ぎた事をいくら考えても所詮たらればの域を出るもの
ではない。今は一刻も早くこの危機を脱しなければならない。

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