空が朝日を迎えていた。遠くに見える山と空の境界の色が曖昧になっている。
これから、朝を迎えるのだろうか、夜を迎えるのだろうか、バッツはそんな
ことを自問しながら目を覚ました。
確か――あくまで記憶している限り――最後にある記憶では辺りは暗かった。
今は朝だ、という確信をバッツはもった。
そして、上半身だけを起こし辺りを見回す。何もない静かな森だった。
辺りは散らかっており、それが自らの疲れを表しているように感じた。
それらを拾い、片付けようと立ち上がる。辺りはひどく歩きづらかったが
すぐになれるだろうと思った。一つの塊がバッツの視界に入りそれが
黄色い鳥だという事に気がついた。
それは、ボコという名前のたいそう大きな鳥で、この旅においてのバッツの
同行者であった。
バッツはボコに声をかけ、ボコは鳥らしいが、体格の通り大きな
声で返した。そして辺りを片付け終わると、朝の食事を取った。
食事のために起こした焚き火はその役目を終えても、バッツとボコの暖となっていた。
しばらくは、その周りで、何もすることがなく時間を過ごした。
その時、辺り一面に轟音が響きあたる。
何事かと思ったバッツとボコはお互いの顔を見つめながら、しばらくは何もしゃべらなかった。
只事ではあるまいとボコも思ったのだろう。
バッツはまとめておいた荷物を手に取ると、いさむようにボコにまたがった。
そして、何秒かの後、ボコが走り出した。
辺りの景色は流れるように消えていき、またすぐに新しい景色が現れ、それら
もすぐに消えていった。
そんなことが続いているうちに水平線から、遠くからでも分かる巨大なふくらみが見えた。
しかし、それはつい最近までその場所にあったとは思えないほど、違和感の大きなものであり、
バッツはそれを隕石と鑑定し、轟音もそれが起こしたものだと結論づけた。
その後もボコに乗ってそれに近づこうとしたが、途中で道が細くなり、
ボコは置いていくこととした。
ボコには心配しないように言っておき、バッツは細い道を下った。
最終更新:2007年12月17日 02:20