月へ2


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薄闇の中動く人影が一つ。地上でいう夜という時間においてひっそりと行動を開始する者がいた……
「待ってくれカイン!」
騒ぎを起こさぬよう、それでいて相手に聞こえるような声で影を引きとめる声が一つ。
「一体どうしたというんだ」
無視を決め込む影に対し声を強めていく。
「しつこいぞセシル」
「今ならまだ引き返せる!」
「言いたいことはそれだけか」
「カイン!」
平行線を辿る二人の会話に割り込む女性の声が一つ。
「お願い……正気に戻って。あなたはまた操られているだけなのよ!」
「違うな」
何を言われても動じない淡々とした声。
「おれは正気に戻った」
全てを突き放すような冷徹な声は地底のマグマすらも凍りつかせるほどに冷たい。
「これが本来の俺だ。今までの俺の方がおかしかったのだ。セシル、お前がパラディンになったようにな」
「カイン! クリスタルを返すんだ!」
視線をセシルに向け、挑発気味に話すカインにセシルも多少声を荒げる。
「取り返したいのなら力づくでくることだな。だがこのクリスタルを守っていた衛兵達のように手加減はしてやらんぞ
全力で痛めつけてやるさ」
口元を歪めて笑うカイン。邪悪さすら感じられる。
「カイン。まだ戻れるというのに!」
カイン自身が言ったように、この逃走の中カインは相手を痛めつけることはしていない。ましてや闇打ちだったのだ。上手く誤魔化せば
誰もカインの仕業とは思わないはずだ。
今ならまだ戻れる――そう今なら
「怖気づいたか」
忠告交じりの説得も意味をなさない。
「仕方ない、カイン!」
セシルも覚悟を決めて剣を抜く。だが……
「やめて! 二人とも――!」
夜の存在しない地底で静かな戦闘は叫びともとれるローザの声で制止された。
「セシル――それにカイン――何故二人が戦うの? カイン、目を覚まして!」
「ふん……興が削がれた」
カインはセシルから背を向け歩きだす。
「これで全てのクリスタルが揃った。月への道が開かれる」
最後にそう言い残して。
「カイン」
セシルは友人の――親友の――カインの名を呼ぶ。そこに意味はない。彼と戦う意思も制止する力も。

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