月へ5


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セシル達がミシディアにたどり着いた時、その場所は今まで見知った街と違って見えた。
それは気のせいではないのは一緒にやってきたローザ達の反応から見ても明らかであった。
「変ね……静かすぎるわ」
ミシディアにやってきたのはセシルを除けばエッジ、リディアも初めてであった。
だが、白き螺旋を描くこの街の静けさは誰もが思うところであった。
(確かにおかしい。最初……暗黒騎士の僕が受けた手荒い歓迎の時は置いとくとしても、以降この街の入口を潜る際には
早朝であろうが見張り程度の人間はいたはずだ。それが……)
今回は門番すらいない。試しに武器屋、道具屋などの建物を窓から除いてみたが人がいる気配もない。
(この武器屋の人は最初えらく冷たかったけ……でも僕がここを旅立つ際には餞別として鎧を授けてくれたかな)
懐かしい思い出を感傷しつつ、続けて街で最も栄える場所である酒場を訪れてみた。しかし、ここにも人一人確認できなかった。
「そっちはどうだった?」
散策を終え、街の中心部でローザ達と落ち合う。
「いえ……誰もいないわ」
エッジとリディアの顔色も窺う。此方もローザ達と同じ反応のようだ。
「……セシル」
「とりあえず――」
長老に会おう。セシルはそう結論づけた。おそらくこの街の静けさもセシル達の目的も長老の口から全て語られるであろう。
「待っておったぞ」
ローザ達にそう伝えようとした矢先であった。目の前にそびえる街一番の高さの場所――祈りの塔の方向よりこちらへと歩いてくる
人影と声が聞こえたのは。
「長老!」
声だけで振りかえらずとも分かったその人物はセシルが探し求めていた人物である。
「祈りの塔へ」
久しぶりの対面であったが長老は静かに自分の道程を指さすだけであった。
「お話したいことが……」
報告したい事、個人的に話したいこと、感謝。長老への言葉は尽きるわけがない。
「わかっておる。だが今は急ぐのだ。祈りの塔へ参られい」」
しかし長老はセシルの言葉を強引に打ち切って再び、祈りの塔へ向かう事を促す。
「……はい」
その言葉の力に負けたのだろうか? セシルは長老の指示に従った。ローザ達も特に異論はなくセシルに付き従う。
確かに今はゆっくり話している暇はない。それはセシルも同じ考えであった。
地底から感じていた何かが動く前触れのような確信。長老も似たようなものを感じ取ったのだろう。

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