ふっと空気が緩み、その瞬間唐突に、単語が浮かんだ。小さく、刺すような頭痛がした。
「ティナ…」
「うん?」
「私、名前はティナ…」
ジュンが、優しく笑った。
「強い精神だ。……しまった、もう来たか」
「え?」
ジュンは自らの肩越しにドアを振り返る。
「招いていない方の客だ」
思ったより早い、とジュンがつぶやく。
「すまん、少し黙っといてくれ」
ティナが問うより早く、ジュンが俊敏な動きでドアへ向かい、錠の確認をする。傍の机をドアの前に倒した瞬間、ドアが大きな音で鳴った。
「開けろ!」
「帝国の手先がいるだろう!」
荒々しい声がドア越しに聞こえ、ティナはベッドから立ち上がる。
「帝国…?」
最終更新:2007年12月11日 23:30