ff6 - 03 narche

 ジュンはティナの手を引き、ドアと反対側の続きの間へ連れて行く。扉を叩く音は途絶える事がない。
「この裏から、炭鉱に出られる。ティナ、あとで説明をするから、今は早く逃げなさい」
「逃げる?」
「あいつらには話は通じない。早く!」
「でもあなたは」
「急ぎなさい!」
 ティナは、ジュンの勢いに押されて勝手口を出た。風が強く、後ろで結った髪が目の前をはためいた。

 皮膚からしみ込む冷気に眼が覚めていく。
 頭痛が遠退いていく。

 私は。

(何を、忘れてしまっているの?)

 振り切れない不吉な月あかりの下を駆け出した。
 背後に、不穏な気配を感じながら。

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最終更新:2007年12月11日 23:30
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