ff6 - 10 narche > figaro


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 蒼い空、オレンジの砂漠。
 真上からの光はビームのように強い。
 この国の太陽は、植物も水も枯らすのに、何か生命の起源をも思わせる。
 この砂漠を歩くとき、なぜかいつも、命は光から生まれるんだと思う。そして、自分はいつも光を求めている。
「ティナ、あと少しだから」
 ロックはティナの腕を引く。慣れない暑さと疲労で、足元がふらついている。既に半日も歩いているのだ。今日に限ってチョコボを見かけないな、とロックは忌々しく思った。
 記憶を失った魔導の少女は、何度も転びそうになりながら、それでも負ぶろうとするロックを固辞した。それは拒絶の色ではなかった。そういう習性なのだろう。野生の動物は、なかなか馴れない。
 魔導を持つ人間なんてものは、要は、天然記念物のようなものだとロックは受け止めている。群れに慣れないのではなく、群れを知らないのだ。そして、自分の仲間を探し続けている。
 ティナが唐突に、「大丈夫かしら」と言う。
 ガラス玉のような不可思議な色合いの眼は、すべてを知っているようにも思えるのに、何をするにも小さな首を傾げ、ひとつずつ、覚えるような丁寧さでロックの言葉に耳を澄ます。
「うん?」
「私を追いかけてきた人達、ジュンに何もしてないかな」
 ティナの嗄れた声に気付き、水筒を渡す。ティナはありがとうと、遠慮がちに水を口に含む。
「ああ見えても、リターナーの一員だから」
「…心配してるかな」
「フィガロに着けば、連絡を入れるさ」
 まるで頓着しないロックの様子に、ティナは困ったように口を噤む。
「薄情って思った?」
 ティナは首を振る。
「…いつか会えるかしら」
「会えるよ。」
「お礼を言わなくちゃ」
 白い皮膚は熱を帯びてバラ色になっている。もしかすると、陽に灼けたのかもしれない。
 フィガロまであと少しだ。
 ロックは額の汗を拭いながら、懐中のコンパスを確認する。
「ロックも、ありがとう」
 優しい声に、ロックは顔を上げる。
 ティなの人形のような顔がわずかに微笑んだように見えたが、蒸せるような熱砂から逃れるように、すぐに手の甲で口許を隠してしまった。
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