ff6 - 22 figaro

「まったくあの子と来たら……本当に見境の無い!
 先週に三人もつれ込んだばかりと思ったら、今日また一人!」
「……あの」
 何を言っているのかさっぱり分からない。
 それでも老女は呆気にとられているティナを意ともせずに捲し立てていく。
「いえ、何も言わなくて結構。あなたの仰りたいことなどようくわかっておりますとも!
 でもね、女中なんてこの城にはもう、箒で掃いて捨てるほどいるのよ。
 あぁ! いっそ本当に掃き捨てられたら!!」
「……私は」
「ええ、もちろんそうだからといって、あなたに仕事が無いわけではありませんよ。
もっとも余っているわけでもありませんがね、とにかく」
「あの……ちょっと!」
「あら…なんです?」
 冷たい視線が刺さる。
 ティナは咳払いをして、押し戻されそうになった言葉をなんとか絞り出した。
「……その、私は……、ナルシェの街でロックという人が、私を助けてくれて………
 それで、彼に連れられて、一緒にここに……」

 ……だめ、うまく説明できない。
 ティナは困り果てて俯いた。なぜと言われても、彼女自身どうして自分がここにいるのか
分かっていないのだから、説明など出来るはずもない。
 ところが、意外にも老女は言葉をとめて黙っていた。ティナが恐る恐る顔を上げると、  
「まあ…、まあまあ!」
 老女がその顔一杯に、驚きと、歓喜の色を広げていた。
「ああ、ごめんなさい! 私としたことが、とんだ勘違いをしてしまって!」
「……?」
 やっぱり、ティナにはよくわからなかった。

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最終更新:2007年12月12日 00:56
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