一節 新たなる旅立ち7


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ギルバートとふたり、カイポの北側に向かってリディアは歩いていた。
セシルとローザは、まだ老夫婦の家にいる。ダムシアンの壊滅に始まって、赤い翼の現状、消息を絶った竜騎士、バロンに残された人々の安否──リディアの知らないことばかり険しい顔で話し込む二人の側に居辛くて、用事があると部屋を出たギルバートについてきた。
セシルの大切な人が無事だった。そのことは、もちろん嬉しい。それにしても。
「……きれいな人だね。ローザって」
初めて見たときからわかっていたことだが、病が癒え、面と向かって話してみると、その印象は更に強い。
わかったことは他にもある。セシルがローザを大切にするのと同じぐらい、彼女もセシルが好きなのだ。それに大人で、きっとリディアより魔法もたくさん使えるんだろう。
だからどうだというわけではないのだが、自分の胸にしまっていると、据わりが悪くてしかたなかった。
「そうだね。それに、行動力もある。
 ……ちょっと似てるな」
考えていたことを吐き出して、賛同もしてもらったのに、まだ気分がすっきりしない。いろいろ理由を考えるうち、そもそも彼が何のために、どこへ向かっているのか知らないことをリディアは思い出した。
「ねえ、こっちってオアシスがあるんだよね?」
「そうだよ。たくさんのキャラバンがテントを張っている。
 知り合いが結構いてね、できたら話を聞こうと思って」
カンテラを手に日の落ちきった町を歩くギルバートの足取りは、ずいぶんと迷いがない。リディアに合わせ遅らせていることもあるが、元々このあたりを歩き慣れているのだろう。
おいしそうな料理の匂いと話し声を夜風が運ぶ。だんだんと道が広がり、ささやかな灯火に代わって湖面に踊る月の光が二人の行く手を照らし出す。
岸辺に並んだ大きなテント、何十人もの人が囲んだ大きな大きなかがり火に、リディアは思わず立ちすくんだ。
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