二節 剛の王国17

 ローザは名高い竜騎士と白魔道士を両親に持ち、カインに至っては前竜騎士団
団長の実子であった。そんな学内でも一目置かれた立場の二人が、なぜ自分などに
話しかけてきたのか、セシルは今でも不思議に思っている。それでも、それは彼に
とってたまらなく嬉しい出来事だった。
 彼らは三人だけの特別に親密な輪を形成し、いつも行動をともにした。セシルと
カインは幼い少年らしく、すぐにお互いの技に興味を持ち、何度も手を合わせた。
未知の武器であった槍との出会い。加えて、格の違いすぎる王との稽古と違い、
実力の均衡したカインとの仕合は楽しかった。二人は日夜お互いを切磋琢磨しあい、
めざましい勢いで進歩を遂げていった。
 また、敗者の方は、治療と称したローザの怪しい白魔法の練習台にされるという
過酷なルールが、いっそう二人を必死にさせた。

 様々な時間を共有し、多くの体験を得ることで、彼らはますます信頼の密度を
深めていった。最初の友人はやがて最高の友人となり、その繋がりは時を経ても
色褪せることはなく、彼らの絆は、永遠に途切れることのなかった・・・。

 そう、信じていたのに────


「まだ躊躇っているようだな」

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最終更新:2007年12月12日 04:02
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